地材地消座談会 / 森林とふるさとを元気にする「地材地消」

地材地消座談会 / 森林とふるさとを元気にする「地材地消」

経済・環境面でメリット

経済・環境面でメリット 綾部 - 地材地消とはご存知の通り地域の木材を地域で消費するということで、経済面と環境面両面のメリットがあります。
 経済面では北海道の森林から生産される木材や木製品を道内で積極的に消費することで、その資金が森林組合などに還元されて、植林や間伐などの森林整備が行われ、健全な森林が育成されると。そういう“いい循環”が起こるということです。
 環境面は、一つは、木材の輸送距離が短縮されるので、輸送に伴う二酸化炭素の排出量を削減できること。
 もう一つ、これは木材の優位性ということかと思いますけれど、木材は本当に環境に優しい素材で、使っても植林すれば再生産可能ですし、加工に要するエネルギーも極めて少ないのです。
 さらに炭素を長期固定・貯蔵することから、木造住宅などは「第二の森林」といわれています。このことから、道としては、地材地消が道民のライフスタイルとして定着されるように取組を進めているところです。

ふるさとの木が一番

松原 - 全国の林業関係者が集まったとき、「どこの木が一番か」という話になったことがあります。結論からいいますと、自分たちの地元でとれた木が一番、ということなんですね。ヒノキのある地域の人は、「ヒノキのない住宅なんて住宅じゃない」と。スギの人は「スギが一番だよ」と。それぞれの地域で地域の木を上手に使いこなしているんですよね。
 私たちは、今北海道で人工林として植えられているトドマツやカラマツを余す所なく使うことが重要だと考えております。風土に合っているからこそ、そこに多く生育しているということですから。
綾部 - 道内でも道産木材で建てる人が増えていますね。
松原 - 木材には大気中の湿度が上がってくればそれを吸って、逆に乾燥してくれば、それを放出するという機能があります。天然の素材である木を使うことで室内環境もよくなるんですね。なおかつ乾燥することで強度が上がり品質も安定します。例えば、カラマツ材は、ヒノキに負けないだけの赤味がある。こういった長所を十分に活用していけば住宅部材としても非常に有効だと思います。

求められるストーリー性

求められるストーリー 武部 - 当社が地材地消で使っている木材はカラマツが多いんですけれど、我々より上の世代の人はカラマツというと、ねじれる、そるなど素性が悪いということで、イメージがあまりよくないんです。けれど、若い人たちは、そういう固定観念がなくて、ぼくらが「木というのはよじれたり曲がったりするのが当たり前」という感覚で話していくと、すごく納得されるんですね。
松原 - 建てた方からの反響はいかがですか?
武部 - すごくいいですよ。消費者の方というのはストーリー性を求めているじゃないですか。外国から運ばれてきたマツにストーリー性は感じないけれど、北海道のここでとれたこういうマツの木が自分の家の柱や、壁の仕上げになっているというあたりにはすごく興味を持ってくれます。
 今小児科を建てているのですが、子どもたちが来る場所だから、家庭で診察を受けているような気持ちになれる、木を使った仕上げの診療所はどうですか?という提案をしたら、それがすごく新鮮だったらしく、受け入れてくれました。やっぱり同じ生き物ですから、金属など度は違って癒される部分が大きいのではないでしょうか。

「北の木の家」認定制度も

綾部 - 北海道の木を使った家に住みたいという方のために、住宅の骨組みとなる構造材にJAS認定を受けた木材を使った住宅を「北の木の家」として北海道木材産業協同組合連合会が認定しております。道ではこうした住宅の建築を進める工務店を「北の木の家」の建築推進業者として認証していまして、道のホームページでも広く紹介しています。
松原 - 北海道の木を使っていても、現状の家造りでは製材があまり表に出てきません。今後は意図的に大梁を見せるなどの工夫も必要ですね。
武部 - それこそ適材適所で、無垢材などを大黒柱や今お話に出た大梁に使うと演出効果としてもすごくいいんですよ。そういう意味で、我々のイメージに合う道産木材を供給していただく体制が整えば、と思っています。
松原 - 製材屋さんにどんどん細かい注文を出してほしいと思います。

さまざまなアクションを

さまざまなアクションを 綾部 - 今回は住宅のお話が主でしたが地材地消にはさまざまなアクションがあります。例えば、近年はマイ箸ブームもありますが、道産間伐材などの割り箸を使うことも地材地消です。
 また、森林バイオマスの普及も重要です。代表的なものが、森林に残されている未利用の間伐材とか製材工場の端材などを原料とする木質のペレットで、カーボンニュートラルなエネルギーとして期待されています。
 そのほか、身近な家具やインテリア、おもちゃなどに道産木材製品を選ぶ、木とともに生きる心を育む木育の取組を通じて子どものころから木に触れる機会を持つなど、日頃から北海道の木に親しんでいただきたいと思います。
 北海道は道民1人当たり約1haの広大な森林を持っています。地球環境保全のためにも、道民一人ひとりが率先して行動していくことが大切だと思っています。
 本日はありがとうございました。
(平成21年9月18日に収録したものを再構成しています。)

座談会の様子